偽りの先生、幾千の涙
考えているうちに、皆の会話についていけなくなって、体調悪いのかと心配される。
違うよって誤魔化したけど、お弁当も半分ぐらい残しちゃったし、保健室に行くように促される。
「花音ちゃん、一緒に行くから保健室行こう?」
果穂ちゃんに言われたら、大丈夫ってもう言えなくて、元気なのに保健室に行く事になった。
果穂ちゃんは他の子に、午後の授業は遅れると思うと伝えると、あたしに立てるか聞いた。
あたしは普通に立つと、人の流れに逆らって教室から遠退いていく。
「ごめんね、果穂ちゃん。」
「気にしないで。
それより大丈夫?」
「あのね…体は大丈夫なの。
ちょっと考え事してただけなんだ。」
「あら、そうだったの?
ごめんなさい、早とちりしてしまって。
…でも、保健室は行った方がいいわ。
今帰ると少し変だし、ご飯を食べれない程考えちゃうなら、保健室でゆっくり考えるのもいいと思うの。」
果穂ちゃんの言葉に頷くと同時に、少し楽になる。
嘘を吐いたわけじゃないけど、皆の事を騙したみたいで後ろめたい気持ちになっていた。
でも果穂ちゃんは本当の事分かってくれていると思うと、後ろめたさが軽減されたんだ。
「本当にごめんね。」
「いいのよ。
それよりも大丈夫?
私でよければ、話を聞く事ぐらいは出来るわ。」
「ありがとう。
…でもごめんね。
まだちょっと言えないんだ…」
「無理に言わなくてもいいのよ。
もし私に出来る事があればと思っただけだから。」