偽りの先生、幾千の涙


果穂ちゃんは優しい。


でも果穂ちゃんには言えない。


だから余計に苦しい。


果穂ちゃんはそのまま保健室まで一緒に行ってくれた。


保健室の先生は、果穂ちゃんが体調悪いのかと勘違いしたが、違うと分かるとあたしに体温計を渡す。


でも熱なんてなくて、どうするかと聞かれて困っていると、果穂ちゃんはまた助けてくれた。


「何かあってからでは遅いので、休ませてあげて下さい。」


果穂ちゃんが言えば、保健室の先生は二つ返事であたしをベッドまで連れていってくれた。


あたしは果穂ちゃんにお別れも言えなかった。


「楽になったら言ってね。」


先生はそう言うと、戻っていく。


果穂ちゃんに後でお礼を言わなきゃ。


それからまた考え事の続きをする。


あたしが今分かっている事だけでも、ママに内緒で言うべきかな?


でも中途半端な情報を渡すと、逆に迷惑かな…


でも少しでも分かった事があるなら言うべきだよね…


というより、どうして果穂ちゃんに言ったらダメなんだろう…


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