偽りの先生、幾千の涙


「ええ。
クラスの皆さんとお勉強していたんです。
指定校推薦の方って、今回の期末試験が勝負ですから、一緒にお勉強していると、こっちも必死になれるのでとっても良かったです。」


「そうか…明日から頑張れよ。」


「はい。」


あれ…なんだか元気ない?


いつもならもっと話しかけて来るのに…疲れているのかしら?


別に会話しなくてもいいんだけど…


「榎本さん…もし明日からのテスト受けなくていいよって言われたら、どうする?」


「え?
期末試験をですか?
そうですね…それは、私だけ受けなくていいって事ですか?
それとも皆が免除されるんですか?」


「そうだな…1人だったら、引け目感じる?」


「そうですね。
特別扱いされているみたいで、やっぱり後ろめたいです。
皆でっていうなら…正直どちらでもいいです。
受けなくても、受けても…」


「そうか…榎本さんはテストがなくなっても喜ばないか。」


どうしてこんな事聞くのかと不思議に思った。


明日…試験がなくなるような事態にでも陥るの?


でもそんな事ってあるかしら…もし問題が起こったなら、今日知らされているはずだし、そもそもそんな大問題起こる?


何か事件が起こって公に出来ないとしても、それなら生徒や保護者の携帯に休校の連絡が入るはずだけど、そんな連絡来ていなかった。


「伊藤先生はテストがなくなった嬉しいですか?」


「そりゃ嬉しいよ。
採点しなくていいし…でもなくなる理由にもよるか…」


やっぱり今日の伊藤は変だった。


復讐の計画で行き詰った事でもあるの?



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