偽りの先生、幾千の涙


私、これからどうなるんだろうとか。


上手く逃げられるかどうかとか。


私を送った後、優さんはどうするんだろうか?


家族の元に戻れるのかな?


優さんの家族、本当は優しそうだし…でも裏切ったのに変わりはないから、居づらくないかな?


っていうか、戻れるの?


どうやって言い訳するの…私がその日捕まらなかったとか?


それでは日を変えるだけで、根本的な解決にはならない。


…私に生きろって言ったけど、優さんは生きられるかな?


生きて、幸せになれるかな?


気が付いたら、私自身について考えずに、優さんの心配ばかりしていた。


馬鹿らしいと思ったけど、その考えは一瞬で消えた。


私も優さんに生きてほしいし、幸せになってほしい。


だってこんなに…


私はこの時に漸く気付いた。


優さんは初めて私が頼った大人であり、心地好い居場所を提供してくれた人であり、そして…


私が初めて好きになった人だ。


< 245 / 294 >

この作品をシェア

pagetop