偽りの先生、幾千の涙
気付くのが遅かった。
いや、好きになる事がもはや間違いなのだろう。
この前まで利用するか警戒するかのどちらかで、それは優さんも同じだ。
なのに恋しいなんて…私は自分の愚かさに嘆いた。
それに、今更どうしようも出来ない。
明日、彼に何処かへ連れていかれて、さよならだ。
きっと二度と会う事さえない。
私はスーツケースをパタリと閉める。
明日、優さんの顔を見る事は出来るかしら。
色んな事が次々と頭に浮かぶ。
どれも今まで考えた事がないような事で、私は柄にもなく戸惑ってしまった。