偽りの先生、幾千の涙
俺の家は、一言で言うと最低だった。
両親は俺が生まれたから、一応結婚したようなものだったんじゃないかって思う。
母親と父親はいつも喧嘩をしていた。
ガキの俺のことなんか放置して、昼夜問わず怒鳴りまくって、父親にいたっては母親を殴っていた
そういう時、俺はいつもトイレに押し込まれていた。
小さなアパートで、個室なんかなかったからだと今なら思う。
ガキの俺は、電気のスイッチなんて届かないのに、親は気付かずに電気を付けずにドアを閉めてしまう事が多々あった。
電気をつけてと一度頼んだ事があるが、煩いって逆ギレされて、母親みたいに殴られた。
それから怖くなって、俺は電気がついてなかろうが、腹が減ろうが、どっちかがドアを開けるまでじっと閉じこもるようになった。
あの日もそうだった。
あの日も電気をつけてくれない日で、暗い中耐えるしかなかった。
でも今日も我慢したら、後で飯が食えると思っていた。
父親と母親の怒鳴り声がBGMで、何言ってるか分からないから余計に怖かった。
それから暫くして、ドサっという音がした。
父親の慌てた声が聞こえて、少しして救急車のサイレンが何処からか聞こえてきた。