偽りの先生、幾千の涙
side by 花音
あたしがその事を知ったのは、眠いながらにも聞いていたニュースだった。
果穂ちゃんが拐われた。
それも伊藤先生に。
あたしは果穂ちゃんの言っていた事を思い出す。
果穂ちゃんは伊藤先生を警戒していた。
怪しんでいた。
あたしに調べてほしいと言った。
なのに途中から、伊藤先生が好きかもしれないって言ってた。
…あの時、既に何かがおかしくなり始めていたんだ。
でもあたしは殆ど何も出来なかったし、気付かなかった。
果穂ちゃんの友達なのに。
もしあたしがママ達から色々聞き出して、それを果穂ちゃんに話していたら、果穂ちゃんは誘拐なんてされなかったかもしれない。
…悔しい。
果穂ちゃんのこと、守れなかった。
あたしのせいだ。