偽りの先生、幾千の涙


「本当に何も知らないの?」


段々、皆の声音が荒くなっていく。


沢山の人があたしを睨んでいて、怖くなる。


ずっとこんな思いはしていなかった。


果穂ちゃんが守ってくれてたんだって自覚する。


果穂ちゃんがいたら、嫌われたくないから、皆こんな顔はしないもん。


果穂ちゃんがいるかいないかで、この学校は大きく違う。


「…役立たず。」


誰かがあたしに言った。


皆が頷き始める。


「…果穂様と家族ぐるみの仲なんでしょ?
一番仲良いんでしょ?
なのに、何で何も分からないの?」


あたしだって知りたい。


果穂ちゃんが何処にいるのか、何故拐われたのか、知りたいよ。


「うざくて、お荷物なところ、昔と変わってないよね。」


言葉が重い。


全部本当の事だ。


否定のしようがない。


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