偽りの先生、幾千の涙
果穂ちゃんって守りがいないあたしに、誰も優しくなかった。
それこそ昔と何一つ変わってない。
これからずっとこんな感じなのだろうか。
このまま果穂ちゃんがいなくなるのは嫌だ。
果穂ちゃんが何処かで怖い思いをしていると考えると、心配で仕方ない。
でもその気持ちに上にベールがかかる。
あの頃に戻るのが怖い。
また虐められるのが怖い。
どれもあたしの本当の気持ちで、皆の言っている事も本当だ。
今ここに、嘘一つもない。
だから何も言い返せない。
「…」
あたしは思わず席を立つ。
何処に行くわけでもなく、偽りのない場所から逃げたくて、あたしはそのまま教室を飛び出した。
関係ない人の間を潜り抜けて、あんまり来た事のないところまで走った。