偽りの先生、幾千の涙
ゴールデンウィークは今週の土曜日からだ。
そして今日が月曜日…木曜日から始めたらいい。
休みの前の日で俺も仕事があるから、その日は2人しかできない。
補講の有無を見た結果、この2人が選ばれた。
これでいい。
俺はクラスの承諾を得たところで、念のため学年主任のお伺いを立てる。
勝手にやった生意気な新任教師と思われたら、後に響く。
でも絶対に反対されないのは分かっている。
学年主任は次期教頭候補のベテランの女性、俺のことがお気に入りのようだ。
俺は翌日には予定表を作って、授業の空き時間に印刷をする。
30枚の紙を持って、火曜日の放課後に配る。
ゴールデンウイーク明けと言っていたが、少し前から始めると言いなおす。
一応、都合の悪い人は申し出るように伝えておく。
榎本果穂と国木田花音が時間をずらさない事を見越しての事だ。
榎本果穂は決められた事を変更するような申し出をする事はない。
伊藤先生は皆のスケジュールも考えた上で日程を決めたという建前を壊す事はしない。
国木田花音も、榎本果穂と同じ日に設定されたんだから、変えてくる事はない。