偽りの先生、幾千の涙
「そういえば、昨日に個人面談があった子っている?
実は私、今日が面談で、何聞かれるかちょっと気になって。」
そう言うと、1人が手を挙げる。
「昨日が面談でした。
最初は普通の進路面談でしたよ。
何処の学校行きたいかとか、成績で不安なところの確認ですとか…あとは雑談でしたね。
学校生活の話とか、交友関係も聞かれましたね。
そういえば、目標としている人がいるかって聞かれて、果穂様って答えました!」
「私が目標なんて…でもありがとう。
そう言ってもらえるなら、これからもっと頑張らなきゃ。」
「果穂様にこれ以上頑張られたら、本当に手が届かないお方になってしまいますわ。」
いつもの流れになってしまった事にげんなりしつつ、私はざっくりとした情報だけを頭に留める。
進路相談も一応はしたか…まあ3年生なんだから当然か。
「そういえば、今日は果穂様と国木田さんでしたよね?
国木田さんいいな。
私も果穂様と同じ日が良かったです。」
1人がそう言うと、昨日面談だった子がこう言った。
「その気持ちも分かるけど、私は昨日で良かったわ。
だって果穂様の同じ日や、後だと比べられてしまいそうだもの。」
「それは…そうね。
って、私は休み明けだもん。」
そんな会話を適当に聞きつつ、今日は一緒に食べていない花音ちゃんを一瞬見る。
どうして花音ちゃんと同じ日なんだろう。
確かに、今日は私も花音ちゃんも補講は1つだから、時間はある。
でも他にそんな子はいるし、花音ちゃんなら確か火曜日も空いている。
金曜日しか空いていない子もいる事を考えたら、花音ちゃんは別の日の方が良かったのではないだろうか?
考えすぎだと思いながら、私は始業式からの伊藤の様子を思い出す。