偽りの先生、幾千の涙
私達は図書室から少し離れた階段に行き、手摺に体重を預ける。
いつもは風通しの良いここも、今日に限ってはあまり吹いていない。
「今日暑いね。
面談する部屋も暑いかな?」
「どうかな。
冷房付いていたらいいけど。
…ねえ花音ちゃん、お願いしたい事があるんだけど。」
「何?」
「今日、もし時間があったらだけど、私が面談終わるまで待っててもらえない?
校門まででいいから一緒に帰りたいし、今日の面談の事とかも話したい。」
「いいよ!
あたしの面談が終わったら、近くで待ってるね!
良かったら、あたしの家の車で帰ろうよ!」
「それはいいよ。
この前もお世話になったし、花音ちゃんの家の車なのに申し訳ないもん。」
車で帰れたら楽だけど、そこは本当に申し訳ないと思う。
花音ちゃんの家の車で帰ってるのが父親に知られたら、何か言われそうだし。
それから私達は時間が来るまでお喋りを続けた。
花音ちゃんと話している限り、花音ちゃんは伊藤に狙われるような事は抱えていなさそうだ。
と考えれば、花音ちゃんと私が今日面談なのは関係ない?
いやいや、残念ながらまだ分からない。
「花音ちゃん、花音ちゃんが面談する時にちょっと確認してほしい事があるんだけど、いいかな?
私ばっかりお願いしてて申し訳ないんだけど。」
「果穂ちゃんはそんなの気にしなくていいよ!
いつもお世話になってるのはあたしなんだから。
何を確認したらいいの?」