偽りの先生、幾千の涙
確認した後、私は着替えもせずにベッドに倒れ込み、目を瞑る。
ほっとしたような、気持ち悪いような複雑な気持ちだ。
死ぬのに失敗したのは最悪だ。
学校が始まってからよりも、春休みである今に死んだ方がいいかなって思っていたが、夏休みまで待とうか、いや、ゴールデンウィークでもいい。
学校が始まると、余計な詮索をされるまでの時間が短くなるから嫌なの。
とにかく、不本意ながら1ヶ月以上待たないといけない。
やっぱり最悪だ。
でもあのままお兄さんに監禁されたり、海外に売り飛ばされるのはもっと嫌だから生きる事を選んだ。
…それにしても、本物のお兄さんはどれなのだろうか?
助けてくれた時、エレベーターでのちょっと怖い感じ、家に着いた時の少し軽めのイメージ、それとも最後の一言…最後は違う。
嘘吐きの直観が告げている。
「まあいいや。
また会って怖かったら調べよう。」
私は制服を脱ぎ捨てて、部屋着に着替える。
もう今日は何もしたくないから寝よう。
部屋の照明を消して、寝る前にもう一度窓から街を見下ろす。
人工的に彩られた街はやはり美しかった。