偽りの先生、幾千の涙


きっと伊藤は、私から何かを聞き出したいのだ。


もしくは相談できる大人のフリをして、利用できる駒にしようとしている。


私が1人暮らしだから、家族に相談するのが難しい?


どうして家族に相談しないといけないの?


女子高生って友達とか彼氏に相談する子が圧倒的に多いんじゃない?


それとも、私には相談できる友達がいないって事?


そりゃ相談しようなんて思える友達はいないけど、学校の中にしか友達がいないと考えるのは今時おかしい。


若い先生なら、そういう感覚も分かると思う。


それに百歩譲って、友達と呼べる人物が実はいないとバレているとしよう。


それでも、家族にできないからって、どうして先生なわけ?


私達の事を知らないって自ら言ったのに、何の相談に乗ろうというのかしら?


「伊藤先生、そんな風に考えて下さって、ありがとうございます。
ご心配おかけして申し訳ないと思ってます。
でも…ごめんなさい。
今はまだ誰にも話したくないんです。」


話せたとしても、伊藤に話すわけがない。


だって伊藤なんて信用できないもん。


出会って約1ヶ月しか経っていない人に何を話せと?


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