偽りの先生、幾千の涙
だが応接室を出ると、花音ちゃんが手を振って待っていた。
この時間の感じなら、結局図書室には行っていないのだろう。
まだまだ気を抜けないようだ。
「果穂ちゃん、お疲れ様。
どうだった?」
「そうね…ある意味面白かったよ。」
伊藤のボロが少し見る事が出来た。
4月から感じていたモヤモヤした気持ちは少しだけ晴れたけど、逆に霧が濃くなった。
本当にあの人は何者かしら?
「ある意味面白かった?
何のお話してたの?」
「伊藤先生の話だよ。」
嘘は吐いていない。
だって伊藤についても話したもん。
「ねえ、花音ちゃん、また1つお願いしていい?」
「勿論いいよ。
どうしたの?」
「伊藤先生について調べてほしいの。
花音ちゃんにお願いというよりは、花音ちゃんのご両親にお願いって感じかな。」
下手に探偵を雇うより、花音ちゃんにお願いした方が良い。
その方が確実な結果が帰って来るから。
「分かった、お父様とお母様にお願いしておくね。
えっと…因みに理由を聞いてもいい?」
理由?そうね…