あの日、あの桜の下で
彼のような人に好きになってもらえたことを、忘れてしまえるわけなんてない。
たとえ、遠く離れてしまったとしても、何年も会えなくなったとしても……。
それからも私たちは何度か、過ぎゆく時間の中、側にいられることを確かめるように、校舎の陰に隠れて唇を重ね合った。
大変な日々だったけれど、一瞬一瞬がかけがえのない時間だった。こうやって、彼と同じ空気を吸っていられる今を、大事にしようと記憶に刻み付けた。
そうして一瞬一瞬が過ぎていき……、離れ離れになる〝その時〟がやってくる……。