そばにいて
重たい雲がかかっていたあの日、彼女は煙になって空に溶けた。
彼女が病気になってから、こうなる日がくることはわかっていたけれど。
おじいさんおばあさんになっても一緒にいて、俺が彼女に見送られるんだと最期まで信じていた。
どこをどう彷徨ったのか、覚えていないけれど。
子猫が近所に捨てられていた。
ダンボールに入っていて、弱弱しく泣いていた。
ボリュームが小さいからか、関わりたくないからか、街ゆく人々はそれに気づいている様子はなかったけれど、俺にはそこにだけスポットライトでも当たっているかのように見えたんだ。
そして、猫を見つけた時に俺は「ミキが生まれ変わったんだ」と真剣に思った。