三つ葉のクローバー
「みんな、おはよう」
優しく微笑む施設長の嶋(しま)が部屋から出てきた。
ここは孤児院の三つ葉荘。
様々な理由で独りになった子どもをここで家族のように迎える。
身寄りのない子たちの唯一の拠り所。
「それでは、いただきます」
嶋の声に合わせて、みんなも手を合わせた。
毎日当番制で家事をする。
今日は瑠華が当番だった。
彼女の味噌汁はみんな大好きで、湯気と一緒に昇る味噌の香りがとても食欲をそそった。
「今日は奏汰と耀はお泊まり保育だ!」
瑠華はカレンダーの印を見て、声を上げた。
「うんっ!」
「ちか先生と一緒に寝る約束したんだー!」
幼稚園児の2人は玄関に置いたリュックサックを指さして、足をばたつかせる。
「あ、うちは友だちんとこで勉強会してそのまま泊まるから。よろしく」