三つ葉のクローバー
「ふふ、みんなで作ろうよ」
実はつい最近読んだ本でそんな話を読んだ。
みんなでワイワイと作る失敗した料理を「まずい」と言いながら笑って食べている。
そんな情景だった。
その提案に瑠華が顔をパッと明るくする。
「お、いいねー。じゃあ決定!」
3人は性格も正反対で、何をするにも話が合わない。
実が右と言えば瑠華は左と言って、郁未は面倒臭いから真ん中と言う。
でも、瑠華はそんな2人が大好きだった。
「じゃああとでねー!」
三つ葉荘を出て、坂を降りるとあるバス停を境に実は2人とは真反対に行く。
その後ろ姿を寂しそうな瑠華は見つめた。
「瑠華、行くぞ。遅刻する」
郁未と瑠華は同じ学校。
実は少し偏差値の高いところへ進学した。
2人も受けてはいたのだが、学力共々足りず結果滑り止めの私立になってしまったというわけだ。
瑠華は3人でいることが好きで、その事を泣いて嫌がり、郁未になだめられてようやく納得したのだ。
だから約束は「3人で同じ大学に行く!」だった。