吸血鬼な王子様
キーンコーンカーンコーン。
授業の終わりを告げるチャイム。
それと同時に、私は彼のもとへ向かう。
「どうしたの、聖太くん。口どうしたの?」
「え、」
口元を手で拭う彼。自分の手についた血のようなものを見た聖太くんは、
「ああ。最近、唇が乾燥してたんだ。授業中にぷっつり切れたんだな」
「そうなんだ…。私、今リップクリーム持ってるけど使う?」
「いいの? 間接キスしていいの?」
「聖太くんだからいいよ」
彼にリップクリームを差し出す。最近ドラッグストアで買った新品。
それを唇に塗ると「ありがとう」と返してくれる。
だから私は「どういたしまして」と返したのだった。
びっくりした。
一瞬、聖太くんが吸血鬼になったのかと思った。