オカンみたいな君が好き
私は知らず知らずのうちにうっかり崩壊させてしまった。
今までずっとあったもの。
あって当然だったもの。
トーマとの関係性、幼馴染み。
ああもうきっと、元には戻れない。
ぎゅっと目を閉じていると「なあ」とトーマが呟くように呼びかけた。
「な……なに」
するとトーマは「さっきの断り方はないんじゃねえの」と言った。
「わざわざ俺を巻き込むことはねえだろ。嘘でもあんなこと言うな」
私はがっくりして、そして苛立って、トーマの腕を振り払った。
トーマはあほだ。
なぜあれを嘘だと思ったんだ。
私はあれだけ恐怖を感じていたのに。
今までにない恐怖を感じていたのに。
本当にばかじゃないのか。
ばかじゃ……
「なんで泣くんだよ」
「うっさい、ばか」
トーマが気づいてくれないのが悪いんだ。
「好きだよ、ばか」
泣きながらもう一度言った。
「お母さんみたいに口うるさいけど」
「俺はお前のオカンじゃねえけどな」
「だけど好きだよ。好き、好きなの」
また涙が溢れてきた。
きっと今ぐちゃぐちゃで汚い顔なのだろう、トーマはポケットからハンカチを取り出して私の目元に当てた。
「無駄に女子力高いんだよ、ばか」
「ハンカチは常識だ」
「うるさい、ばか」
ばか、と消えそうな声でもう一度言った。涙が止まらない。
今までずっとあったもの。
あって当然だったもの。
トーマとの関係性、幼馴染み。
ああもうきっと、元には戻れない。
ぎゅっと目を閉じていると「なあ」とトーマが呟くように呼びかけた。
「な……なに」
するとトーマは「さっきの断り方はないんじゃねえの」と言った。
「わざわざ俺を巻き込むことはねえだろ。嘘でもあんなこと言うな」
私はがっくりして、そして苛立って、トーマの腕を振り払った。
トーマはあほだ。
なぜあれを嘘だと思ったんだ。
私はあれだけ恐怖を感じていたのに。
今までにない恐怖を感じていたのに。
本当にばかじゃないのか。
ばかじゃ……
「なんで泣くんだよ」
「うっさい、ばか」
トーマが気づいてくれないのが悪いんだ。
「好きだよ、ばか」
泣きながらもう一度言った。
「お母さんみたいに口うるさいけど」
「俺はお前のオカンじゃねえけどな」
「だけど好きだよ。好き、好きなの」
また涙が溢れてきた。
きっと今ぐちゃぐちゃで汚い顔なのだろう、トーマはポケットからハンカチを取り出して私の目元に当てた。
「無駄に女子力高いんだよ、ばか」
「ハンカチは常識だ」
「うるさい、ばか」
ばか、と消えそうな声でもう一度言った。涙が止まらない。