甘えたいお年頃。
それから数日。
里菜と深月の仲は完全にこじれてしまった。
周りの反応もそれぞれだが、やっぱり驚きが一番多かっただろう。
昔から里菜の友人だった者はそちらへ、深月と仲がいい子で里菜とあまり関係のない人はそっちに。
クラスまで別れ始めてしまったのだ。
私もほぼ深月側、と言われている。
クラスが分断されているのに、教師達も気がつかないはずがなかった。
「何か知らないのか?」
「……はい?」
結局ダメ出しをくらった7回目の再提出の時、突然担任にそう言われた。
「明らかに雰囲気おかしいだろう。深鶴は何か知らないのか?」
「あー……心当たりはありますけど、少なくともいじめではないので安心してください」
「……何があったか話してみろ。先生に出来ることがあったら手伝うから」
真剣に私を見つめる担任はまさに教師の鏡だったが、生憎他の先生がいるところでする話ではない気がする。
分かりました、これ以上何かあったらお伝えします、とだけ伝えて、私は職員室から出た。
教師に出来ることなど、正直限られているし、何より教師が介入して収まる問題ではない。
改めて考えれば、私達双子と里菜との問題。さらに言えば、一方的に巻き込まれている尚人との問題でもあるのだ。
偶然は必然。
偶然巻き込まれたら、必然的に自分が終わらせなくてはならない。
あの言葉の意味が、現実みを帯びてくる。
重い空気になった教室に戻るまで、私は何度かため息をついてしまった。