甘えたいお年頃。

その日の放課後。
そのまま帰ろうとした私を深月が引き止めた。


「何?」
「なにー? じゃないよ! ほら里菜のプレゼント一緒に買いにいこ!」
「えー……今日じゃなくてもいいじゃん」
「何言ってるの! パーティ三日後だよ!? どうせそうやって買うの忘れちゃうじゃん!」


2年3組の教室を出ても行く行かないで言い争う。
周りがちらちらと見ているが、深月はお構いなしだ。


「もうプレゼントのあてあるから大丈夫だって」
「まさかポテチ買う気じゃないよね!? 里菜ちゃんそういう油ものダイエット中だから絶対食べないよ?」
「知らないよダイエットなんて……」
「図星なの!? ねえ図星なんだよね!? もう!! ちゃんと買いに行こう? ね?」


そのまま、高校だというのに華やかさのないボロ校舎を出て歩く。
さすがにプレゼントにポテトチップスはまずかったか、とやっと考え直した時、そっと深月が私の腕を引いた。

振り向くと、向こうにはお洒落なお店が立ち並ぶ、中心街への道がある。
そっちに行くの、と嫌な顔をする私を引っ張りまた歩き始めた。


「あっちに雑貨屋さんがあるんだよ。そういう系の方が良いかなあって」
「へえ……うわ人いっぱい」
「しょうがないよー。ていうか深鶴は外に出なさすぎ!」


街につくと深月は手頃な店を探し、さっさと入店する。私もあわてて同じ店の中に入った。
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