戸惑う暇もないくらい
交代でお風呂に入り、髪を乾かしてリビングの扉を開けると那智はまだ座ってテレビを眺めていた。
部屋に入ってきた私の存在に当然気付いているはずなのにこちらを見ようともしない。
もう我慢できない。
那智の隣に腰を下ろすと意を決して那智の方を見た。
「那智」
「…なに」
「今日、おかしいよね」
そう言うと那智の瞳がようやく私を捉えた。
感情を乗せない顔で見つめられ、怯みそうになるけど話し合いをしないと何も解決しない。
「何かあったなら言ってよ」
「…………」
「那智」
「何か言うことがあるのは葉月の方じゃないの」
そう言った那智の目に初めて感情が見えた。
間違いない、那智は私に対して怒りを向けている。
「何かって…何も」
「今日の仕事半日って言ってなかった?その割に遅く帰ってきたけど、何してた」
「ごめん、仕事でちょっと」
「仕事?…喫茶店で男と二人で会うのが?」
「…!」
その言葉でようやく那智の怒りの原因が分かった。
那智は私と藤島さんが会っているところを見たのだ。
「那智、誤解!その人、うちの人事の人だから」
「葉月はただの同僚の前で泣くの?」
「それは…っ」
「しかも、あいつ葉月の目元を指で拭ってただろ。葉月は誰にでもそういうことさせるの?」
藤島さんがただの同僚だとは言い切れない後ろめたさを一瞬泳いだ目に写してしまい、それを見た那智はこっちに身体を乗り出し、私の身体を押し倒すように押さえた。
「那智…っあ」
両手首を頭上で押さえられて抵抗できない。
鼻先が付きそうな距離で見たこともない那智の怒りに満ちた瞳に焦りが募る。
「葉月、答えて」
「ごめんなさ…」
「俺に謝るようなことしたの」
「ちが…っ藤島さんは、同僚だけど…昔、付き合って…っんんっ」
噛み付くような口づけが降ってきた。
乱暴に口内を抉じ開けられ、いつもより性急に蹂躙するように舌が絡まる。
「は…ぁっ」
息ができないほど激しい口づけのあと、首筋に顔を埋める那智の唇が荒々しく肌を辿る。
時折歯を立てられる刺激にびくりと身体が跳ねた。
「…っ」
「やぁ…あ、んっ」
前開きのパジャマに手がかかると一気にボタンを外され、冷たい空気に胸元がさらされる。
「な、ち…っ」
明るい照明の元に素肌がさらされる羞恥を感じると同時にすぐ胸元にも唇が寄せられ、痛みを感じたかと思うと那智が唇を離したところから赤い痕が現れた。
「は…っ」
「ふ、ん…ぁ」
いつもは痕をつけようとする那智を制していたけれど、今のどこか泣きそうにも見える那智を前にするとそんなことはとても言えない。
那智を傷付けてしまった。
そう思うと胸が苦しくなって、ただ那智の衝動を受け止めることしかできなかった。
部屋に入ってきた私の存在に当然気付いているはずなのにこちらを見ようともしない。
もう我慢できない。
那智の隣に腰を下ろすと意を決して那智の方を見た。
「那智」
「…なに」
「今日、おかしいよね」
そう言うと那智の瞳がようやく私を捉えた。
感情を乗せない顔で見つめられ、怯みそうになるけど話し合いをしないと何も解決しない。
「何かあったなら言ってよ」
「…………」
「那智」
「何か言うことがあるのは葉月の方じゃないの」
そう言った那智の目に初めて感情が見えた。
間違いない、那智は私に対して怒りを向けている。
「何かって…何も」
「今日の仕事半日って言ってなかった?その割に遅く帰ってきたけど、何してた」
「ごめん、仕事でちょっと」
「仕事?…喫茶店で男と二人で会うのが?」
「…!」
その言葉でようやく那智の怒りの原因が分かった。
那智は私と藤島さんが会っているところを見たのだ。
「那智、誤解!その人、うちの人事の人だから」
「葉月はただの同僚の前で泣くの?」
「それは…っ」
「しかも、あいつ葉月の目元を指で拭ってただろ。葉月は誰にでもそういうことさせるの?」
藤島さんがただの同僚だとは言い切れない後ろめたさを一瞬泳いだ目に写してしまい、それを見た那智はこっちに身体を乗り出し、私の身体を押し倒すように押さえた。
「那智…っあ」
両手首を頭上で押さえられて抵抗できない。
鼻先が付きそうな距離で見たこともない那智の怒りに満ちた瞳に焦りが募る。
「葉月、答えて」
「ごめんなさ…」
「俺に謝るようなことしたの」
「ちが…っ藤島さんは、同僚だけど…昔、付き合って…っんんっ」
噛み付くような口づけが降ってきた。
乱暴に口内を抉じ開けられ、いつもより性急に蹂躙するように舌が絡まる。
「は…ぁっ」
息ができないほど激しい口づけのあと、首筋に顔を埋める那智の唇が荒々しく肌を辿る。
時折歯を立てられる刺激にびくりと身体が跳ねた。
「…っ」
「やぁ…あ、んっ」
前開きのパジャマに手がかかると一気にボタンを外され、冷たい空気に胸元がさらされる。
「な、ち…っ」
明るい照明の元に素肌がさらされる羞恥を感じると同時にすぐ胸元にも唇が寄せられ、痛みを感じたかと思うと那智が唇を離したところから赤い痕が現れた。
「は…っ」
「ふ、ん…ぁ」
いつもは痕をつけようとする那智を制していたけれど、今のどこか泣きそうにも見える那智を前にするとそんなことはとても言えない。
那智を傷付けてしまった。
そう思うと胸が苦しくなって、ただ那智の衝動を受け止めることしかできなかった。