戸惑う暇もないくらい
それから余計なことを考えないよう仕事に集中した。
『ジョワ・フルール』のメインVPも終了し、いつも通りの日々が始まっていた。
那智の返事からさらに二日。
ついに今日は那智が帰ってくる。
そう思うだけでそわそわして、自然と口元が緩んだ。
同棲を始めてからこんなに会わないのは初めてだ。
その時、遅番で出勤してきた若菜が妙に固い表情で私の立っている場所まで歩いてくる。
「おはよう」
「広瀬、ニュース見た?」
「え?何の?」
私の返答に若菜はより一層眉間の皺を深くして、周りに視線を配ったあとまたこっちを見る。
「一条あやめの熱愛報道。相手…モデルの『Nachi』だって名前出てるんだけど」
「え…」
一瞬、理解できずに言葉が出なかった。
熱愛報道?一条あやめ?
急に足元がぐらつくような錯覚がした。
どうしてそんなこと。
押し寄せる感情の波に思考が追い付かない。
「誤解だとは思うけどさ。一応、広瀬もマスコミとか気を付けなよ」
「…うん」
分からない。
今日仕事終わったら会えるんだよね。
帰ってくるんだよね。
どうしてこんなことになってるの。
目を閉じて深呼吸する。
今は仕事だ。何もできない。
嫌にドキドキする胸を押さえて無理やり頭を切り替える。
那智の口から聞くまで、何も信じない。
『ジョワ・フルール』のメインVPも終了し、いつも通りの日々が始まっていた。
那智の返事からさらに二日。
ついに今日は那智が帰ってくる。
そう思うだけでそわそわして、自然と口元が緩んだ。
同棲を始めてからこんなに会わないのは初めてだ。
その時、遅番で出勤してきた若菜が妙に固い表情で私の立っている場所まで歩いてくる。
「おはよう」
「広瀬、ニュース見た?」
「え?何の?」
私の返答に若菜はより一層眉間の皺を深くして、周りに視線を配ったあとまたこっちを見る。
「一条あやめの熱愛報道。相手…モデルの『Nachi』だって名前出てるんだけど」
「え…」
一瞬、理解できずに言葉が出なかった。
熱愛報道?一条あやめ?
急に足元がぐらつくような錯覚がした。
どうしてそんなこと。
押し寄せる感情の波に思考が追い付かない。
「誤解だとは思うけどさ。一応、広瀬もマスコミとか気を付けなよ」
「…うん」
分からない。
今日仕事終わったら会えるんだよね。
帰ってくるんだよね。
どうしてこんなことになってるの。
目を閉じて深呼吸する。
今は仕事だ。何もできない。
嫌にドキドキする胸を押さえて無理やり頭を切り替える。
那智の口から聞くまで、何も信じない。