強引年下ピアニストと恋するカクテル。


お姉ちゃんも颯太くんも、ついでに私も首を傾げた。
すると、バーテンダーが慌てて拭いてくれているカクテルに視線を落としつつ、怜也がぷるぷると震えているのが分かった。
でも蒼村怜也でもそんな様子を相手に見せて弱みに付け込まれたく無くて必死に強勢を張る。
「ふざけるなよ。俺はこいつが結婚するんだと思って慌てて来日したんだ!」

長くて骨ばっていないすらりとした指。
その指が、私と思いっきり指差していた。

って。

私?

「しかも今日、聴きにくるって聞いていたからこんな小さいBARで弾いてやったんだぞ。それなのに結婚相手はこいつじゃないだと!?!?」
「……?」
「えっと、ちょっと落ちついて確認させてくれ」

颯太くんも首に手を当てながら、目を閉じ今日のことを思い出す様にうんうんと頷きだした。


「俺とみいちゃんが結婚するかと思って不機嫌だったんだ?」
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