強引年下ピアニストと恋するカクテル。
「……追いかけてきます!」
「え、みいちゃん?」
「みい?」
二人の呼び方に、一度振り返る。
「……その呼び方、27歳のOLにはキツイから、ちゃんと呼んで!」
せめてその呼び名が違ったら誤解は防げたかもしれない。
なんて言い訳を思い浮かべながら、BARを飛び出す。
勢いよく飛び出して何かを言おうとしたが、既に彼の姿はエレベーターホールにない。
あるのはずらりと並んだエレベータだけだった。
どうやら階ごとにエレベーターが分けられているらしい。
オフィスに使う社員と、ランチに来た客が一緒に乗らないように配慮してるんだ。
流石、OLの憧れのオフィスビル。
関心してみたが、どこに行ったのか分からない彼を探すのを断念してとぼとぼとエレベーターへ舞い戻った。
……はっきり言って、素のほうの彼は私のイメージとはかけ離れていたけれど、でも其方の方が緊張しなくて良い、生意気な年下の男の子って感じだったな。
「はあ。二人に謝ろう」
弁護士しつつ、おじいさんが残してくれたBARを改装して新しく一から頑張ってきた颯太くん。
(その颯太くんのパーティーを台無しにしたのは私……?)