強引年下ピアニストと恋するカクテル。
突然向けられた乱暴な言葉や敵意に驚いて、誤解に気付かないまま彼の機嫌を損ねてしまった。
(いや、そんなわけあるはずない。あのパーティの雰囲気をぶち壊したのはあの人の子どもっぽい言動のせい……のはす。でも原因は私のせい……?)
すとんと腰が抜けてエレベーターの中で私は今起こった現実に頬を染めた。
私が結婚すると思って来たってことはつまり、……私の為に会いに来てくれたってことはつまり。
少しは私に好意的だったってこと。
――キスで忘れてやるよ。
つまりそれってどういう意味だ?
さきほどの冷たい視線を思いだすと、ふつふつと腸が煮えくりかえってくる。
わけがなく、胸がドキドキと収まらないのだ。
(本当、すっごく嫌な人。あんな人にかまっていられない!)
(早く戻って颯太くんにもっとお祝いを伝えないと)
挙動不審になりつつ、ふらふふらとBARへ戻ると、パッと飛び出す人影にぶつかりそうになる。