強引年下ピアニストと恋するカクテル。
するとテレビにはヘリコプターが映る。
そのヘリがあるビルの上に停まる。
するとビル風なのか、ヘリの風なのか分からないけれど風になびきながら美少年が下りてくる。サイドにはSPなのか大柄のスーツの二人組が添えられていて、彼の華奢で繊細なお姿が惹き立っていた。
優雅に降り立った彼は、まさしく天使そのものだった。
柔らかそうな色素の薄い髪、青い瞳、そして神が乗り移ると言われている白く長い指先。
「嘘! 嘘! このビルどこ?」
「『B.C. square TOKYO』っていうオフィスビルですよ。日本に滞在中はそこのビルのホテルに泊まるんですって」
「うひゃー。あそこって一日数十万から数百万するホテルだろ」
「えー。セレブすぎる! すごーい!」
バイト達の声が全く耳に伝わってこないほど、私の体は震えていた。
……近い。駅一つ向こうじゃない。
会いに行こうと思えば行ける場所。
でもそのビルって吸い込まれていく人たちの身に付けているものや顔面偏差値がとてつもなく高いことで有名なあのビルじゃない。