強引年下ピアニストと恋するカクテル。


甘い旋律なドアを開ける前から聴こえてきた。
(……まさか、あの怜也くんじゃないよね?)
恐る恐る仲を覗きこみながら扉を開けると、旋律がピタリと止まった。
「……何?」
不機嫌そうにパタンとピアノを閉じている男は、やっぱり怜也くんだ。
相変わらず不機嫌そう。
楽譜までわざわざ隠さなくてもいいのに、閉じられてしまった。
「副店長は?」
蒼村怜也
「発注のミスがあったとかで発注先に出かけた。まだ帰って来ねえよ」
「そう……じゃあ私も今日は」
「俺が帰る。せっかく来たならゆっくりして行けばいいだろ」
(そんな不機嫌そうな顔で言われても……)
内心複雑だったけれど、一杯ぐらいは飲んで帰りたくて、バーカウンターへ座った。

すると、帰ると言ったはずの怜也君がカウンターに入ってシェーカーにお酒を入れだした。
そしてシェーカーを振りだした。
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