強引年下ピアニストと恋するカクテル。

「指だけじゃねえよ。俺は何でもできる天才なんだよ」

ご機嫌に頬杖付く怜也くんは、悔しいけどこんな時でも絵に描かれたような格好良さだ。
私のカクテルは、生クリームを入れた苺のカクテルだったらしく、シェーカーから注がれた色は可愛らしいピンク色だった。


けれど、それとは対照的に怜也くんの手元にあるカクテルは色が違う。

「それは何?」
「ああ。これはここのオリジナル。『スパークブリリアント』」
青紫色に輝く宝石の様なカクテルで、グレープの香りがワインのように濃くオシャレだ。
「私も次はそれ飲みたい」
「あー、副店長帰るまで無理じゃねえ? てか度数高いから疲れてる時に飲まない方が良いと思うよ」
「なんで?」
「……俺がスイートルームまで、酔ったあんたを浚っていくかもしれないから」
カクテルに口を付けながら、彼は青く澄んだ瞳で私を睨みつける。
射抜かれるって言葉が正しいぐらい、私は身動きがとれなくなった。

「……こ、この前は失礼なこと言ってごめんね」
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