強引年下ピアニストと恋するカクテル。
「別に。俺もほっとして誰に怒りをぶつけていいか分からなくて、ガキみたいなことしてすまなかった」
ぺこりとお辞儀されて、私も首を振る。
「私じゃなくて、大事なパーティーだった二人に謝った方が良いよ」
「……今、すげえ俺の事ガキ扱いしなかった?」
拗ねた口調の怜也君に、また地雷を踏んでしまったのか一瞬焦った。
でもどうやら違うらしい。口調が悪いのは素だし。
「ガキ扱いも何も、怜也くんは二歳年下だからね。ついついそんな風に――」
折角飲もうとしていたのに、寸前で顔をあげる。
すると仁王立ちで蒼村怜也がこっちを見ていた。
「残念ながら、アンタの前に立っている俺は二歳年下でもガキじゃねえんだよ」
「怜也くん?」
「……あんたの為ならヘリで駆けつける、一人の男だ」
カクテルを奪われて、その手を握られる。
「アンタが初恋なんだよ、美緒」