強引年下ピアニストと恋するカクテル。

心配そうに顔を覗かれて、咄嗟にどんな顔をしていいのか分からずに横を向く。
すると、颯太くんは私が向いた先の雑貨屋のぬいぐるみを一つ掴んだ。

「憧れているだけの存在かと思ったけど、心を通わせたからかな?」
「怜也の素を知っても憧れるってすごいね」
「演奏する技術とその人の人格は比例しないんだもん」

颯太くんが瞬時に否定したけれど、彼の初対面の時の態度は確かに酷かった。
というか、颯太くんは人の悪口をまず言わない人だし、人を嫌ったりしないから、
判断が難しい。

「怜也はピアノ以外は不器用だけど良い奴だよ。それは美緒が一番よく知ってると思ってた。美緒がBARに来ると伝えてから、あのパーティの日、本当にそわそわしていたし」
「……でもどうせ世界ツアーが始まったらまた手が届かない相手になっちゃうんだよね」
自分のネガティブな言葉が、空気を重たくさせる。


「うん。本当はツアー前で忙しいのに、日本に来てBARで毎日弾いてくれるのは何でだと思う?」
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