強引年下ピアニストと恋するカクテル。

「『私の為』とかそんな自意識過剰な発言しないよ。だって私達そんな」
「覚えてないなら、今の怜也を見てあげればいいよ。きっと知れば知るほど良い奴だって分かるから」
「うん。……颯太くんと話してると、意地っ張りでへそ曲がりの自分が嫌になっちゃう。
本当に癒される」
本当は分かってる。
置いて行かれるのが怖くて自分の気持ちを認められないこと。

「はは。美緒も怜也も、猪突猛進型っていうか、こうだ!って思ったら周りがあまり見えなくなっちゃうからね。まあ可愛い妹分だから俺は美緒の事分かってるつもりだし」
「あはは。颯太くん、大好き」

何でも受けとめてくれるから、本当の兄のようで頼ってしまうしこんな風に甘えてしまう。
これは降参だ。すぐにでも『お義兄さん』って呼んであげなきゃいけないぐらい。


「この前の怜也くんは嫌いじゃなかった。駅まで送ってくれる彼のさりげない優しさも知ったし、もう少し歩み寄ってみたいな」
「きっと喜ぶと思うよ。さ、行こうか」
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