強引年下ピアニストと恋するカクテル。
ドキドキした。どう返事が来るかと心臓が潰れてしまいそうだった。
でも帰ってきた声は全く違う。
『そうよ。颯太と怜也くんの別荘が隣同士で、長期休暇によく遊んだりしたんですって』
私は颯太君に聞いていたのに。
「……お姉ちゃんに聞いてないんですけど」
『あらー。自分の婚約者と妹が会話してたら混ざっても変じゃないよね?』
くう。
私みたいな、平凡、要領悪い、彼氏なんてもう何年も居ないような負け組とは違う。
何でも器用にこなし、容姿も良心の良いとこばっか貰って大きな目で、スタイル抜群で、巨乳。正確だって颯太くんと同じくおっとりしてるくせに、出しゃばらず気も使える。
はっきり言って、私とは正反対で完璧すぎる姉に最早コンプレックスなんて出来ないほど見事に完敗している。
「蒼村怜也ってピアニストが、颯太くんのBARがあるビルのホテルに滞在してるって聞いたんだけど」
『うん。私たちの結婚式に来てくれるんだってー』
「嘘!」
『今からBARで演奏してくれるみたいよ』