強引年下ピアニストと恋するカクテル。


「怜也がどうしたの? 連絡先ならこっちの方が良いかな」
颯太くんは状況が分かっていない様子だったけれど、仕事用の怜也君の名刺をくれた。
「ありがとう」


お礼を言って電話をかけるけれど、何回かコールが流れても出る気配が無かった。


落ち込んでいると、颯太くんが私の様子に気付いて電話をかけてくれた。
代わりに今来たばかりのお姉ちゃんが電話し出した。
「もしもし? 怜也くん、今どこに居る?」
呑気なお姉ちゃんの第一声から暫くして、表情と声が一変する。
「……何言ってんの。またそうやって勝手に誤解するんだから。あのね、」
(どうしたんだろう?)
様子を伺っていると、電話は一方的に切れたようだ。
お姉ちゃんが首を振る。
「どうだった?」


「……美緒が駅で颯太に『好きだ』って言いながらイチャイチャしてるのを目撃したから帰るって臍曲げてる」
「私と颯太くんがイチャイチャ?」
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