強引年下ピアニストと恋するカクテル。

「さっきの駅の雑貨屋の前じゃないかな」
「あ……。確かにさっき『颯太くん、大好き』と言った。兄として好きだと」

「ソレね。自分の前では笑わない美緒が、颯太くんには笑顔で素直に言っていたとか、この世の終わりの様な暗い声で言ってたわよ」
「あいつの初恋は美緒だから、協力してくれる俺にも裏切られたとか勝手に落ち込んでさ。あいつ、本当に繊細すぎるんだよ」


はあ、とため息を吐いた後、ちらりとBARの隅にあるピアノへ視線を送る。
そして颯太くんはピアノに近づくと、置いてある楽譜を手に取った。
ソレを渡しに渡すと、お姉ちゃんが言う。


「さっき、電車の通過する音が聞こえたんだ。もしかすると、貴方達を目撃した場所でまだフラフラしtるのかもね。走ればまだ駅で会えるかもしれないよ」
そう言って私に楽譜を渡してくれた。
ボロボロで、テープで破れた個所を何回も貼って修正している。
そのテープも黄ばんで変色して、見た目的にも綺麗じゃない。


「行ってくる!」
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