強引年下ピアニストと恋するカクテル。
エピローグ

B.C. square TOKYOの54階のBARで、しっとりとした甘い旋律が奏でられた。

お姉ちゃんと颯太くんの挙式、披露宴が済んだ後、気の置けない友人と親族を読んでの2,5次会。
その席で、髪をセットしいつもより大人ぶった雰囲気で演奏する怜也君に、私の心臓は止まりそうなぐらい大きく高鳴っていた。

「やばい。やっぱ演奏中の怜也君やばい」

「それ、本人に言ったら絶対拗ねるからやめてあげなよ」

苦笑するお姉ちゃんと頷く颯太くんだったけれど、颯太くんはお姉ちゃんの肩を抱きつつ目に涙を滲ませていた。


忘れられない音色があった。
繊細で、指を鍵盤から離す瞬間、甘く余韻を残す。
強弱の付け方や滑らかに流れる指先。そこから奏でられる曲。

その曲を弾いていたのは、私より二つ年下の綺麗な男の子だった。
その日、会場中を虜にした魅力的な男の子は、テレビで演奏したりするような天才少年。
そうとは知らずに、私の五感すべて奪われた。心を大きく揺さぶられた。

その男の子が今、目の前で愛の調べを奏でている。
うっとりと誰もが惹きこまれていく様な甘い音色で。

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