強引年下ピアニストと恋するカクテル。
「来いよ、一緒に弾こう。美緒」
サプライズで私も怜也君の隣で一緒に弾きだすと、お姉ちゃんと颯太くんはとうとう号泣し出してバーテンダーさんや副店長たちにハンカチをもらって涙を拭いていた。
曲も好き。
奏でる指先も好き。
けれど今ははっきりと分かる。
この人が好き。口は悪い癖に必死で守ろうと背伸びしてくるこの人が。
演奏が終わると、次は颯太くんとお姉ちゃんが演奏し出した。
ヴァイオリンとピアノのデュエットにBAR内は優しい音色で包まれる。
「なあ、手え出して」
「うん?」
右手を差し出すと、怜也君は首から下げていたネックレスを取り出す。
その先には、二個の指輪が下げられていた。
「結婚指輪はツアーのあとだけど、これ」
照れながら、何度も指に嵌めるのをもたつきながらも、私の指にはめてくれた指輪に目の前が滲んでいく。
「ほ、本番はもっと上手に指にはめてやるから」
真っ赤になりながら視線を泳がす可愛い私の恋人に、私はクスクス笑いながらもありがとうと抱きついたのだった
Fin