未来レター
タイトル未編集
????side:主人公????
コトッ。
玄関の方で音がした。
「みすず、見てきてくれるか?」
「ん〜…」
妹のみすずは、この春高校生になる。
実の兄である俺が言うのもなんだが、結構かわいい。
直接言ったら、キモいって言われるだろうから、言わない。口が裂けても。
「なんか手紙届いてたよ。お兄ちゃん宛に」
「え?おれ?」
手紙なんか律儀に書く友達なんかいたか、と首を傾げる。
第1、このご時世だ。
伝えたいことは大体のことはスマホで済ます。
急ぎの用があったとしても、大半の人は電話か何かで伝えるのではないか。
「なに?ラブレター?」
なぜかテンションの上がっている妹をスルーし、自分の部屋へ向かう。
ラブレターなどという可能性はない。断じて。
それは別に俺の顔が2度も見れないような不細工だとか、性格が世界で1番最悪だとか、そういうことではない…と思う。
告白なんて可能性が、限りなくゼロに近い理由。それは俺が男子校に通っているからだ。
女子と関わったことなんて、何年ないか…数えようとしたが、虚しくなるだけだと思い、やめた。
「さて…読んでみるか。」
ベッドに腰掛け、先ほどみすずに手渡された手紙を見る。
白い封筒だ。何の変哲もない。そこに記されていたのは、俺の住所と名前だけで、差し出し人らしき名前は見当たらない。
「本当に誰だ…?」
いよいよ本格的に怪しくなってきたなと思いつつも、中を確かめたくなってしまうのは、人間の性(さが)だ。
封を開け、中を見てみると、入っていたのは、3枚の便箋と、ミサンガだった。
ミサンガは机に置き、俺は手紙を読むことにした。
開くと、まるでコンピュータで打たれたかのような、美しく、流麗な字が目に入った。
便箋はシンプルなもので、白い紙に、花をあしらった模様がところどころある。
差し出し人のセンスの良さが見て取れた。
内容は…。俺は読み始めて数秒で、息を飲んだ。
『初めまして、亜希くん。』
あ、まあ、流れでなんとなくわかると思うけど、俺の名前は中宮亜希。
せっかくなんで、ついでに自己紹介。
12月24日、クリスマスイブ生まれのやぎ座で、東京生まれ東京育ち。
頭の良さには自信があり、都内で名門の桐ヶ咲学院(男子校)に通っている。この春高校生2年になる。
家族構成は、父、母、姉、俺、そして妹のみすずだ。
A型で、彼女は残念ながらいない。
みすずいわく、「イケメンの部類だけど、髪とメガネと性格で人生の90%損してる」だそうだ。
確かに髪は切りに行くのがめんどうで、いつの間にかすごく伸びていた。
メガネは…ゲームのやりすぎだ。
さすがに高2にもなって彼女がいないっていうのも悔しいから、今度思いっきりイメチェンでもしてやろうかと思ってる。
…と、ものすごく話がそれたな。
手紙の続きを読もう。
『突然だけど、わたしは亜希くんのことを知っています。
そして、亜希くんの…恋人です。』
ここまで読んで、俺は静かに手紙をとじた。
うん。人違いだろう。
俺の全く知らない人が、俺と付き合っている?
は?
申し訳ないが、全く意味不明だ。
たぶん、俺と同姓同名で、俺と同じ事務所の人が、この手紙を書いた人と付き合っているんだろう。
うんうん。納得…
…ってまてよ、それ、俺じゃん!!
じゃあこの手紙はなんだ?いたずら?
…みすずのしわざだな?
「みすずー!」
ガチャッ
「んー?」
「俺を騙そうなんて100年早いぜ。
残念だったな!」
「…?」
「…いや、だから…これ!
お前だろ!」
「…は?」
ん?なんだ、この反応。
俺の予想では、この可愛らしい小悪魔顔がくしゃっと笑って、『あったりー!』というような展開になると思っていたが…。
「それ、お兄ちゃんへの手紙でしょ。
なに、どういう意味?」
「え、だから…。これ、お前からだろ?
新手のどっきり!」
みすずは無言で俺を見つめたあと、
「かして」
と言って、有無を言わさず、俺の手の中にあった手紙をうばいとった。
みすずは、最初は、俺と同じく、ぽかーんとした顔で手紙を読み始めたが、じょじょに顔がひきつり、それが笑いに変わり、また真剣な表情に戻り、そして最後は…
「お、おいみすず…?
おまえ、なんで泣いてるんだ…?」
ハッとしたような顔で俺を見上げるみすずの頬には、まるで宝石、と言ってしまうほどの、美しく輝いた涙がこぼれていた。
みすずは、あわてて目を擦り、手紙を、少し乱暴に、、、でも、とても重たいものを持っているかのように俺に押し付けた。
「ど、どうしたんだ…?みすず」
「…言えない。むり。」
「…は?でも読んだんだろ?」
「また泣いちゃう。…わたしの言葉では言えないし。読んで、じぶんで。
それで考えて。…愛悠さんの気持ちとか…」
「は?ま、まゆうって…だれ」
「もう!よんでって言ってるでしょ
ちょっとは自分で考えてよね!
じゃあわたし、でかけるから!」
バタンッ。
いきおいよくリビングから出てったみすずは、
また泣いているように見えた。
コトッ。
玄関の方で音がした。
「みすず、見てきてくれるか?」
「ん〜…」
妹のみすずは、この春高校生になる。
実の兄である俺が言うのもなんだが、結構かわいい。
直接言ったら、キモいって言われるだろうから、言わない。口が裂けても。
「なんか手紙届いてたよ。お兄ちゃん宛に」
「え?おれ?」
手紙なんか律儀に書く友達なんかいたか、と首を傾げる。
第1、このご時世だ。
伝えたいことは大体のことはスマホで済ます。
急ぎの用があったとしても、大半の人は電話か何かで伝えるのではないか。
「なに?ラブレター?」
なぜかテンションの上がっている妹をスルーし、自分の部屋へ向かう。
ラブレターなどという可能性はない。断じて。
それは別に俺の顔が2度も見れないような不細工だとか、性格が世界で1番最悪だとか、そういうことではない…と思う。
告白なんて可能性が、限りなくゼロに近い理由。それは俺が男子校に通っているからだ。
女子と関わったことなんて、何年ないか…数えようとしたが、虚しくなるだけだと思い、やめた。
「さて…読んでみるか。」
ベッドに腰掛け、先ほどみすずに手渡された手紙を見る。
白い封筒だ。何の変哲もない。そこに記されていたのは、俺の住所と名前だけで、差し出し人らしき名前は見当たらない。
「本当に誰だ…?」
いよいよ本格的に怪しくなってきたなと思いつつも、中を確かめたくなってしまうのは、人間の性(さが)だ。
封を開け、中を見てみると、入っていたのは、3枚の便箋と、ミサンガだった。
ミサンガは机に置き、俺は手紙を読むことにした。
開くと、まるでコンピュータで打たれたかのような、美しく、流麗な字が目に入った。
便箋はシンプルなもので、白い紙に、花をあしらった模様がところどころある。
差し出し人のセンスの良さが見て取れた。
内容は…。俺は読み始めて数秒で、息を飲んだ。
『初めまして、亜希くん。』
あ、まあ、流れでなんとなくわかると思うけど、俺の名前は中宮亜希。
せっかくなんで、ついでに自己紹介。
12月24日、クリスマスイブ生まれのやぎ座で、東京生まれ東京育ち。
頭の良さには自信があり、都内で名門の桐ヶ咲学院(男子校)に通っている。この春高校生2年になる。
家族構成は、父、母、姉、俺、そして妹のみすずだ。
A型で、彼女は残念ながらいない。
みすずいわく、「イケメンの部類だけど、髪とメガネと性格で人生の90%損してる」だそうだ。
確かに髪は切りに行くのがめんどうで、いつの間にかすごく伸びていた。
メガネは…ゲームのやりすぎだ。
さすがに高2にもなって彼女がいないっていうのも悔しいから、今度思いっきりイメチェンでもしてやろうかと思ってる。
…と、ものすごく話がそれたな。
手紙の続きを読もう。
『突然だけど、わたしは亜希くんのことを知っています。
そして、亜希くんの…恋人です。』
ここまで読んで、俺は静かに手紙をとじた。
うん。人違いだろう。
俺の全く知らない人が、俺と付き合っている?
は?
申し訳ないが、全く意味不明だ。
たぶん、俺と同姓同名で、俺と同じ事務所の人が、この手紙を書いた人と付き合っているんだろう。
うんうん。納得…
…ってまてよ、それ、俺じゃん!!
じゃあこの手紙はなんだ?いたずら?
…みすずのしわざだな?
「みすずー!」
ガチャッ
「んー?」
「俺を騙そうなんて100年早いぜ。
残念だったな!」
「…?」
「…いや、だから…これ!
お前だろ!」
「…は?」
ん?なんだ、この反応。
俺の予想では、この可愛らしい小悪魔顔がくしゃっと笑って、『あったりー!』というような展開になると思っていたが…。
「それ、お兄ちゃんへの手紙でしょ。
なに、どういう意味?」
「え、だから…。これ、お前からだろ?
新手のどっきり!」
みすずは無言で俺を見つめたあと、
「かして」
と言って、有無を言わさず、俺の手の中にあった手紙をうばいとった。
みすずは、最初は、俺と同じく、ぽかーんとした顔で手紙を読み始めたが、じょじょに顔がひきつり、それが笑いに変わり、また真剣な表情に戻り、そして最後は…
「お、おいみすず…?
おまえ、なんで泣いてるんだ…?」
ハッとしたような顔で俺を見上げるみすずの頬には、まるで宝石、と言ってしまうほどの、美しく輝いた涙がこぼれていた。
みすずは、あわてて目を擦り、手紙を、少し乱暴に、、、でも、とても重たいものを持っているかのように俺に押し付けた。
「ど、どうしたんだ…?みすず」
「…言えない。むり。」
「…は?でも読んだんだろ?」
「また泣いちゃう。…わたしの言葉では言えないし。読んで、じぶんで。
それで考えて。…愛悠さんの気持ちとか…」
「は?ま、まゆうって…だれ」
「もう!よんでって言ってるでしょ
ちょっとは自分で考えてよね!
じゃあわたし、でかけるから!」
バタンッ。
いきおいよくリビングから出てったみすずは、
また泣いているように見えた。