強引同期に愛されまして。



まどろみから目を開けると、男の顎が見えた。口を半開きにして、寝息を立てている。
変な夢を見ていたから、一瞬それが元カレの梶くんかと思った。
しかし寝ている男の顔を見て一気に目が覚めた。


「……嘘でしょう?」


焦って後ろに体をずらしたら、ベッドから転がり落ちてしまう。布団を巻き込んで私が落ちたもんだから、彼は布団が取り払われた状態になった。

そして見えるのは、ほぼほぼ肌色状態の田中くん。いやかろうじて下着は履いているけれども。

なにこれ、いったいどうなってるの。

自分を見れば私も裸だ。かろうじて……以下同文。
だがしかし、私の場合は胸はあらわになってしまっている。


これは……えーと、酔った勢いでアレってやつ?

私が? しかも田中くんと?
いやいやいや、嘘でしょー?


体に布団を巻き付けて頭を抱えていたら、寒さのためか男が身じろぎした。


「んー、さみぃ」

「あ、ごめん」


慌てて布団をかけて……いや違う!

隠さなきゃ、とりあえずは胸を。服はいったいどこに行ったんだと見まわすも見つからない。仕方なく、一番手近にあった、田中くんのものと思われるTシャツを着込んだ。

まだ半覚醒中の田中くんは、目をこすりながら私を見る。


「……おまえ、なんでいるんだっけ」


それはこっちが聞きたいわよ。
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