強引同期に愛されまして。

記憶がないほど飲むって恐ろしいな。

でも確かに、飲みすぎたのは自分だし、迷惑かけたのも自分だ。
……ただ、迷惑料で抱かれたかもしれないと割り切るには、田中くんに心が動いている自分的には辛いというか。


「それとも責任とってほしいか?」

「え?」


目の前に近づく男の顔。唇に触れる予想外にしっとりとした彼の唇。思わず息を止めてしまった。
だってまさか、こんなキス、あるはずないって思うじゃない。


「……どうする?」


薄い唇が、目の前でゆっくりと動く。
問いかけにどう答えたらいいのかわからない。
ただ、私はこいつに、こうされたかったんだと衝動的に思って、無意識に言い返す。


「へたくそ」

「なっ、お前に言われたく……」


たじろぐ田中くんに覆いかぶさるようにして、唇をなぞるようにキスをした。
梶くんと別れて二年、こういうことに飢えていたのかと、野獣の気分になりながら思う。


「……おまっ」

「うまいでしょ」

「確かに」


当たり前よ。上手な男と何度もしたもの。経験値だけはある。

肩をつかまれ、ベッドに押し倒される。
記憶にないけど、昨日寝る前、うがいくらいはしたのかしら。
吐いた覚えは確かにあるけど口の中はそこそこすっきりしている。

何度かキスを交わしているうちに、主導権はいつの間にかあちらに移っていた。

体を滑る手の動きに、予想以上に私の体は敏感に反応し、我慢できずに声が漏れる。それが余計感度を高めてしまい、差し込んでくる朝日さえも冷静になる要素にはならなかった。

ただ欲しい。
そんな風に思うなんて、まるで獣のようだ。

自分がこんな風になるなんて、今まで考えたこともなかった。



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