強引同期に愛されまして。
2.とりあえず付き合ってみる?
結果として、私たちは一線を越えた。
もしかしたら夜にも何かあったかも知れないけれど、そちらのほうは記憶がないからカウントしない。
とにかく、朝方にしたほうは自分たちの意思だ。
むさぼるようにお互いを求めた結果、田中くんは今二度目の眠りについている。
今日が日曜で本当に良かった。
正気に返った私は、……とりあえず自らの煩悩を打ち砕くべく、強めのシャワーを浴びている。温度は低めで気分は滝行だ。
田中くんちのお風呂はユニットではなく、湯船と小さめだけど洗い場がちゃんとある。まあお湯は今張っておらず、シャワーヘッドをフックに掛けたまま、壁に手をついて先ほどまでの自らの行いを反復しているところだ。
「……何しちゃってるのよ私」
まさか自分がお持ち帰りされるなんて。それだけじゃなく、自らの意思で一夜の過ち的なことをしちゃうなんて。
どうして私は、田中くんを目の前にすると思考回路がおかしくなるんだろう。
私たち同僚よ? これから今まで通りに過ごせるのか?
田中くんを前にしてぎくしゃくするとか格好悪くて耐えられない。
「おい、長くね?」
ノックもなく扉を開けられて、一瞬息が止まる。
「きゃああ」と悲鳴を上げて投げつけたタオルは、彼の顔面に直撃し、そのタオルを取り払ったとき、額には青筋が立っていた。