強引同期に愛されまして。
他に大切なことがあっても、強制的に考えさせられる結婚と出産。
産める年齢は限られている。確かにそうだ。リスクを考えれば若いうちのほうがいい。
分かっているけど、仕事だってできる時期があると私は思う。
出産でどうしたってとられる一年のブランクは、技術の進歩が速い情報業界に身を置いている私にとっては長い。
今のまま自由に仕事をしたければ、やっぱり結婚なんて考えられるはずもなく。
だけど迫りくる年齢が、それでいいのか? とも訴えかけてきていて、私は自分で自分の首を絞めているようななんとも居心地の悪い気分になりながら、毎日を過ごしている。
もういっそ、子供なんて産めない年まで言ったら、楽になれるのかもしれない。
そうだよ、なまじっか産めるからこそ悩むんだ。
皆が自由に生きられるこの世の中、私たち女ばかりが少子化の責任を取らさせるなんて冗談じゃない。
この際、世界存続とか忘れて皆で独身を謳歌しようよー。
「いい式だったよなぁ」
だいぶ思考が飛んだところで、男の声に我に返る。
いつの間にか隣を歩いているのは、髪をきちんとセットし、黙っていればそこそこのイケメンには見える、同期の田中城治(たなか じょうじ)だ。
本日の新郎である山海(さんかい)君と同じ営業部所属で、無茶ぶりはするけど仕事は取ってくる男。
「田中くん」
「あーあ。まさか山海に先越されるなんて思わなかったよなぁ。なんで俺って彼女出来ねぇんだろ」
「そりゃアンタ。誰彼構わず声かけてるようじゃ、信用されないわよ」
「だって俺、みんな好きだけど」
「そういうの好きって言わないのよ」
「そうかぁ?」