強引同期に愛されまして。
「人に目を配れないので私には無理ですよー」
「そんなことないわ。結婚しても続けてほしいわよ。永屋くんが家庭に入ってほしいって言ってるわけじゃないんでしょ?」
「そんなことはないですよー。どっちかというとそれ、田中さんの方ですって」
あははは、と笑いながら和賀さんはそういったけど、私は耳を疑った。
笑って聞き流せないわよ。どういうこと。なんで和賀さんがそんなこと知ってるの。
私は肩をがしっとつかんで顔を覗き込んだ。
「田中くんが……って、それ本当?」
「え? ああ、半年くらい前ですけどね。みんなで飲んだ時に結婚観の話をしてて。奥さんは専業主婦がいいって言ってたのは私と田中さんだけでした。やっぱり今は共働きが普通なんでしょうねー。……あれ? 三浦さん?」
和賀さんが言葉を止めて、私を凝視している。
嫌だ、私、変な顔してるのかな。
「なんでもないわ」
慌ててごまかして個室に入る。
図らずも動揺しちゃってるわ。どういうことよ。奥さんに専業主婦になってほしいなら私を選んだりしないでしょう?
何なの? 同棲しようまで言ったくせに。
どういうつもりで私と一緒にいるわけ?
ああもうやっぱり、田中くんの考えていることはさっぱりわからない。
*