強引同期に愛されまして。
「任せたぞ、田中」
田中……田中?
いやいや、奴はこんな酔った子を優しく介抱するような男前なところはないのよ。なんといったって絡み酒で有名なんだから。
って思ったところで一気に吐き気がする。
「うっ」
「わ、ちょっと待て三浦。えっと、……いいか、男子トイレで」
とりあえず便座の前に連れていかれ、出すものを出してすっきりする。
あー、口の中気持ち悪い。
「ちょっと待ってろよ。すいません、拭くものあります?」
「ああ、こちらでやりますよ。お連れ様大丈夫ですか?」
「なんとか。すいません。水もらえます?」
男の声がただ遠くに聞こえる。膝ついて、ストッキングが破れちゃったなぁ。視界はグルングルン回っているのに、どうしてこうどうでもいいことは目についちゃうのかしら。
「ほら、三浦、飲めよ」
目の前に差し出された水を、何も考えずに飲む。
口の中がすっきりしたところで、考えるのが面倒くさくなって目を閉じた。
もうどうでもいいや。
なんか自分が何してるのかわからなくなってきたし。
ただ眠りたい。
恋愛とか結婚とか、余計なこと考えずに眠りたいのよ。