強引同期に愛されまして。
*
エントランスに降りたった時には、すでに遅く、ふたりは名刺交換をしていた。
なんだ意外と友好的……と思ったけれど、よくよく見ると目は全然笑っていない。
ここは数か月前、梶くんに『ヨリを戻したい』と言われた場所でもある。あの時は正直に言えば少し揺れたけれど、今はふたりが並んでいても、田中くんのほうにばかり目が行ってしまう。
「失礼ですが、あなたの噂はあまりいいものを聞きません。あなたは三浦葉菜のことをどう思っているんですか」
ぶしつけに本題に入ったのは梶くん。余裕のない顔は珍しく、ちょっと怖いくらい。
「好きですよ。付き合っています」
「どのくらい本気で?」
「は?」
「色々な飲み会に出ては女の子を口説いている、という話も聞いたもので。遊びのつもりなら、彼女から手を引いてくれませんか」
一体梶くんの情報の入手経路はどこなんだ。可能性があるとすれば永屋くんか和賀さんあたりなんだけどな。
確かに田中くんは飲み会に行けば調子よく女の子には声をかけているらしいけど、たいていウザがられて終わってるじゃないの。言うほど遊んではいないわよ。
「はぁ? 遊び?」
田中くんが眉をひそめて梶くんをドンと付き飛ばしたので、私は傍観するのをやめて駆け寄った。
「ちょっと、何してるの」
「葉菜」
ふたりが同時に私の名前を呼び、手を伸ばす。
と、一瞬だけ田中くんが早く私を捕まえ、力強く引っ張った。
肩を抱かれ、腕の中に収められる。ちょっとここはエントランスですよ。人が見てるよ! また目立っちゃう!
エントランスに降りたった時には、すでに遅く、ふたりは名刺交換をしていた。
なんだ意外と友好的……と思ったけれど、よくよく見ると目は全然笑っていない。
ここは数か月前、梶くんに『ヨリを戻したい』と言われた場所でもある。あの時は正直に言えば少し揺れたけれど、今はふたりが並んでいても、田中くんのほうにばかり目が行ってしまう。
「失礼ですが、あなたの噂はあまりいいものを聞きません。あなたは三浦葉菜のことをどう思っているんですか」
ぶしつけに本題に入ったのは梶くん。余裕のない顔は珍しく、ちょっと怖いくらい。
「好きですよ。付き合っています」
「どのくらい本気で?」
「は?」
「色々な飲み会に出ては女の子を口説いている、という話も聞いたもので。遊びのつもりなら、彼女から手を引いてくれませんか」
一体梶くんの情報の入手経路はどこなんだ。可能性があるとすれば永屋くんか和賀さんあたりなんだけどな。
確かに田中くんは飲み会に行けば調子よく女の子には声をかけているらしいけど、たいていウザがられて終わってるじゃないの。言うほど遊んではいないわよ。
「はぁ? 遊び?」
田中くんが眉をひそめて梶くんをドンと付き飛ばしたので、私は傍観するのをやめて駆け寄った。
「ちょっと、何してるの」
「葉菜」
ふたりが同時に私の名前を呼び、手を伸ばす。
と、一瞬だけ田中くんが早く私を捕まえ、力強く引っ張った。
肩を抱かれ、腕の中に収められる。ちょっとここはエントランスですよ。人が見てるよ! また目立っちゃう!