葵い思い出は転がった
大人になって気づいた
あの思い出に縛られるなって言った子の気持ちがようやく分かった
あの場所はぬるま湯でそれから熱湯に入るから
ぬるま湯の温度を忘れなきゃ生きていけないから
「久しぶり」
振り返る声に気づく、変わらない
それに気付くと嬉しい
想い出を一つ一つ数えながら
みんなは涙をながす
辛い訳ではない
たのしいから泣きたくなるんだ、
「またね」
そういって消えた彼女に手を伸ばすことすら出来ず私はそのまま黒い水に奥深く沈んでいく。
昔に戻ればこんな気持ち味わうって分かってたはずなのに
それでも戻ればたのしい
それなのに虚しくなるのは何故
もう大丈夫って
嘘だよ。
私はまだあの場所にいたかった。