鎖骨を噛む





家に帰ると、健司は早速スマホで、テレビを付けて、カープを観始めた。私は、テレビの上のジグソーパズルに目が入った。組み立てたのはいいけど、飾るための額縁のことを考えていなかった。額縁はさすがに100均では買えない。そもそも額縁ってどこで売ってるんだろうか……。赤いロープを買ったホームセンターに行けば、売っているだろうか。



「ねえ、健司。」



「何?」



「私、明日バイトなんだけど……。」



「そっか。そう言えば明日、土曜日だもんね。17:00から21:00までだっけ?」



「うん。だから、晩御飯適当に済ませて。お金置いておくから。」



「ああ、いいよいいよそれくらい。さすがに自分で出すよ。頼りっぱなしじゃ悪いし。」



そして、再びテレビに目を戻した。フリーターの健司の一体どこにお金があるんだろうか。そもそも健司は吉祥寺にあるという自分の家には帰らないんだろうか……。帰らないということは、そういうことなんだろうか……。訊いていいのかわからない。これじゃますます付き合っているのか、同居人なのか、ただの友達のお泊りなのかわからない。



あー!! モヤモヤする!!





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