鎖骨を噛む





自分の教養の無さ、字の汚さがカレー屋のチラシの裏面いっぱいに表れている。もっと漢字を勉強しておけばよかった。もっと字を丁寧に書くようにしていればよかった。



後悔。



もし、人が死んで生まれ変われるなら、もう一度人間がいい。そして、人生を今度は有意義なものにしたい。



しっかり勉強して、いい高校に入って、いい大学に入って、いい会社に就職して、いい人と出会って、恋に落ちて、結婚して……。



やり直したい。でも、やり直せないから、しょうがなく、今できること、今進める道を進むしかない。



誰にも止められないし、誰も止めちゃくれない。



この部屋には家族も、恋人も、友達もいない。誰もいない。ついでに炊飯器もない。



でも、あの4台のカメラ。あのカメラだけは信じたい。あのカメラの先にいる人。その人の存在が、私の孤独を拭い去ってくれるなら、どんな悪人でも構わない。



孤独より怖いものなんて、何もないのだから。




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